資生堂ジャパン株式会社様

ブランドのターゲットが個々の番組をどう見ているのか詳しくわかり、届くCM枠はどこなのか、バイイングにとても有効なソリューションだと思います。

課題 視聴率はわかっていても、ブランドのターゲットが本当にその番組をしっかり見ているか、メッセージがしっかり届く形の見られ方なのか、視聴の質についてはなかなか明らかになりませんでした。
導入の決め手 この2~3年でテレビの視聴環境が激変し、ターゲットの視聴傾向をしっかりウォッチするうえで、視聴者が本当に見たかどうかに基づいたTVISIONのデータが有効だと考えました。
導入後の期待
  • さまざまなデータと組み合わせることにより、誰が・いつ・どんな番組をどのように見ているかが明らかになるでしょう。
  • バイイングの線引きがより綿密にしやすくなり、テレビCMの効果を最大化できると考えています。
  • インターネットテレビが増える中、「ディスプレイとしてのテレビ」の価値を再確認できるソリューションだと捉えています。

2016年にTVISIONのソリューションを利用し、その効果を実感して2018年に再び導入を決めた資生堂ジャパン。デジタル施策にも力を入れている同社だが、テレビCMの投入も変わらず高い比率で行っている。その背景と、この2年で激変したテレビの視聴環境について広告主としてどう捉えているのか、小出 誠氏に聞いた。


資生堂ジャパン株式会社 メディア統括部長 小出 誠氏

いつ・どの番組に自社のターゲットはいるのか。ROIを最大化するデータを手にしたい

これまでテレビCMの出稿は「視聴率」をベースに行われていました。しかし当社のようにターゲットを絞ったブランドを扱っている場合、視聴率は同じでも、ターゲットがよりしっかりCMを見てくれる番組を見つけ出すことが何よりも重要です。どの番組・どの時間帯にターゲットがいるのか、そこでどのようにCMが見られているのかを知ることが、テレビCM出稿における一番の関心事となっていました。

もちろん、視聴率に含まれるターゲット層の含有などは参考にしていましたが、そこでわかるのはデモグラフィック的な特性だけ。これまで長い間、その中に私たちのブランドに合う視聴者がどれぐらいいて、その人たちが本当に見ているのかどうかは、明らかになっていませんでした。

いつ・どの番組にどんなターゲットがいて、CMをちゃんと見ているボリュームはどのくらいなのかが細かくわかるようになれば、ROIは最大化できるはず。そのような番組はいつ・どのテレビ局で放映されているのかを見つけ出すことが私たちの最大の課題でした。

2016年に一度TVISIONを利用させていただいたのですが、今回改めて導入を検討したのは、この2~3年でテレビの視聴環境が激変したことにあります。視聴者がテレビを見る比重は未だに大きいものの、スマートフォンやSNSに使う時間が年々増えており、テレビの視聴自体がダウントレンドになっています。

特にティーン層、なかでもローティーン層はTikTokなどの動画メディアの視聴時間が長くなっていますし、20代の女性はInstagramに多くの時間を割いています。

このように視聴者が「使う時間」の質が大きく変わってきた中で、2016年と2018年で同じテレビCMの打ち方をしていては危険だと感じました。このタイミングで改めてデータを取り直し、今起きているリアルな環境変化を知らなければならないと考えたのです。

そこで、今回改めてTVISIONの局別・時間帯別視聴質ヒートマップを活用することにより、ターゲット含有やブランドに適した番組・時間帯についてつぶさに見ていこうと考えました。リーチメディアとしてのテレビは、とても重要な存在です。そこをきっちり押さえておきたいので、惜しみなくコストを投入したいですし、より精度を高くしていきたいと考えています。

 

デジタルに力を入れていた資生堂ジャパンが近年テレビへの投資比率を増やしているワケ

実はこの3年ほど、わずかずつですがテレビへの投資額を増やしています。確かにデジタルなら数万円単位の予算からはじめることができますし、特定のターゲットへ向けて発信するにも都合がいい。デジタルに大きくシフトしようと考えていた時期もありました。

ところが実際にデジタル施策だけでは、意外とリーチの範囲が広がりきらない傾向があることがつかめてきたのです。テレビCMを打つことでリーチや情報拡散のスピードを早めることができるため現段階ではテレビCMをやりながら、そこにデジタルをミックスすることが効果を最大化するベストな方法だと考えています。

繰り返しになりますが、メディア部門として最も大切にしているのは、CM素材やブランドのターゲットがより多くしっかり見ている時間枠にうまく出稿することです。そのために、TVISIONのVI値(Viewability Index=滞在度)、AI値(Attention Index=注視度)と、スイッチ・メディア・ラボの「SMART」、そしてもちろんビデオリサーチのデータを組み合わせながら、線引きの参考にしようと考えています。

実際にヒートマップを見ていくと、10代、20代にアプローチするうえで深夜帯も有効活用できることが見えてきています。この3年くらい、テレビ局がそこを強化している実感もあります。

 

「ディスプレイ」としてのテレビの可能性は無限大

テレビの役割は必ずしも認知だけだとは思っていません。クリエイティブによっては、パーチェスファネルにおける「理解」や「検討」のレイヤーまで効くと思っています。今後はもっと研究を重ねて、ファネルの下の方まで効くテレビ表現を活用していきたいと考えています。

最近では、メンズブランド「UNO」で、テレビ東京の『ドラマBiz』枠(月曜22時~)において、ビジネスパーソンをターゲットに「WUN(ワールド・ウーノ・ニュース)」というニュース形式のCMを放映しています。これはCM素材としての認知度を上げるという意味で、とても有効な手段だと思っています。

もう一つ、テレビがビューアビリティ100%の大きな「ディスプレイ」を握っているということがこれからの時代において重要な視点だと思います。結線テレビ(インターネットテレビ)が増えている中で、TVISIONの画像認識技術によって、目の前に誰が座っているかを識別し、それに応じて広告を出し分けるビジネスモデルが確立されると良いなと思っています。

理想は50代の男性と、20代の女性で、同じ番組を見ていても、違う広告・違う内容に差し替えられるようになることです。すでにPCやスマートフォンなどデジタルのディスプレイでは当たり前のようにできていますが、東京では結線率は30%を超えていることも考えると、2020年の東京オリンピックまでには、そういうことも可能になっていくのではないかと思います。

 

キャッチアップ放送や結線テレビ、スマートフォン。精度を高めるために必要なデータは広がっていく

最近、テレビCMについて気になっているのは、東京と地方エリアの違いです。同じ20代女性でも、東京の人と、例えば福島県や宮崎県など地方エリアで暮らす人では、生活におけるテレビの比重やテレビの見方が違うはずです。それをどのように出稿形態に反映していくかを考えていかなければなりません。TVISIONには、そこをデータで検証してもらいたいですね。

欲を言えば、スマートフォンでの視聴態度や結線テレビやPCにおけるキャッチアップ放送の視聴質も見られるようになるといいですね。スマートフォンで視聴した時のVI値やAI値、そして視聴者は本当に見ているのかどうか。例えば「TVer」では、CMが強制視聴になっていますが、その時視聴者は何をしているのか。実はメールを打っていたり、お茶を飲んだりしていて、CMは見られていないのではないか。周りのマーケターに聞いてもそういう話題になることが多いですし、私自身も純粋に知りたいですね。

「TVer」をはじめとしたキャッチアップ放送がメジャーになってきたのは、とてもいい流れだと捉えています。今、リアルタイム視聴に絶対的な価値が置かれなくなっているので、そのうち結線を通じてテレビを見ることが主流になってくるはずです。テレビ局が結線を通じてコンテンツを届けるということに本格的に乗り出した証が、キャッチアップ放送だと思います。

「聴覚」に関するデータも見てみたいですね。TVISIONのデータを見ると、朝帯はAI値が低くなる傾向にありますが、ワンルームなどの間取りでは、テレビを「聞きながら」身支度や家事をしている人も多いはずです。テレビを見ていなくても、「マキアージュ 新製品」など耳にしたワードは頭に残っている人もいるでしょう。滞在度、注視度に加えて、「聴覚」という要素が入ってくると、状況判断の精度はさらに高まるのではないかと思っています。

テレビの「ディスプレイ」を基点に、無限の可能性があるTVISION INSIGHTSのソリューションに、これからも期待していきたいですね。