富士フイルム株式会社様

テレビの前に実際に視聴者がいるということが数値で明らかになるため、より効果的な番組や時間帯がわかり、番組選定や改案に有効です。

課題 カレンシーデータの指標が世帯から個人へと変わったが、その個人(視聴者)が実際にがテレビの前で番組を見ているのかどうかが重要とと感じていました。
導入の決め手 視聴者が実際にテレビの前にいて、CMを見ているということが、正確な数値として明らかになったところが魅力でした。
導入後の期待
  • どの番組、どの時間帯の視聴質が高いのかを知ることで、スポット、タイム共に効率的な番組選定ができるようになるでしょう。
  • VI値をもとに、番組の線引きを改案することができるでしょう。
  • カレンシーデータとVI値、AI値の差分を示すヒートマップがあれば、より出稿効率の良い番組や時間帯が明らかになると思います。

TVISIONのソリューションと出会って「これこそ求めていたものだ」と驚き、2019年秋のキャンペーンで視聴質データを閲覧し、その効果について手応えがありそうだと感じたという富士フイルム。中でもVI値に可能性を感じ、これからバイイングの番組選定や改案に活用できそうだという手応えを感じている。一気にマスへとリーチできるテレビというメディアの価値や、視聴質と認知効率の関係性などについて井戸 仁氏に聞いた。


富士フイルム株式会社 宣伝部 マネージャー 井戸 仁氏

テレビの前に視聴者がいて番組を見ている、その本当の数値を知りたかった

最初にTVISIONを知ったのは2018年春頃、マーケティングの勉強会でTVISIONのデモンストレーションを見たことでした。視線を計測するセンサーと機器を持参し、どのように視聴者の存在や視線を計測するのかを実演していて、これは面白いぞと感じました。その時、VI値(Viewability Index=滞在度)、AI値(Attention Index=注視度)という数値を知りました。

それまでは出稿したCMが誰に・どれだけ見られているのかという、「量」も「質」も正確な実態を掴むことができていないことに課題を感じていました。視聴率の指標が世帯視聴率から個人視聴率へと変わり、テレビのディスプレイの前にちゃんとその個人がいるのかが正確に把握できているのか疑問を感じていました。CMがどれだけ見られたのか、その「量」と「質」を把握できないのなら、効率的、効果的なCM放映及び投下量の最適化は難しいと考えていました。

もちろん、私自身はテレビというメディアは、リーチが広く、圧倒的なマスにアプローチできる点において、現代で唯一かつ最後のマスメディアだと思っています。しかしデジタルの場合、誰にどう見られたか、その見られた量が正確にわかりますよね。宣伝部の中でも、デジタルとテレビのどちらにどのように予算を振り分け、どうアロケーションすべきなのかについてよく議論していました。

そんな風に、テレビ視聴者の正確な行動を捕捉するシステム側のソリューションが欲しいと感じていたところに、TVISIONと出会い、「まさにこういうソリューションを求めていた」と直感しました。

テレビというメディアは、短期間で一気に認知を獲得したいと考えた時に、圧倒的なリーチ力があります。確かに、CMは非常に高価なメディアですが、マスにリーチする上でのコストパフォーマンスは他のメディアと比べて桁違いに安価だと考えています。しかし、経営側にCMについて伝える際、これまでは説得力のある数字がありませんでした。その数字さえあれば、CMに注力する理由を経営側にも伝えられると考えていました。

 

同じ視聴率ならVI値の高い番組枠を。バイイングへの活用に光

そこで、まず2019年9月に局別・時間帯別視聴質ヒートマップのデータを見せていただき、どのように視聴質データを活用できそうか検討するところから始めています。

ヒートマップで実際のデータを見てみると、VI値は時間帯や番組コンテンツによって大きく変わるということがわかってきました。そこで、たとえ視聴率は同じだったとしても、VI値の高い番組枠をバイイングするように線引きを変えると良いのではないかと考えています。

データを見て具体的にわかってきたことは、朝・夕帯よりゴールデンタイムやプライムタイムの方が、VI値やAI値の高い番組が多いということです。当社の「アスタリフト」のように女性をターゲットにする場合、専念視聴する人の多いドラマの方がVI値が高いなど、詳しいデータを見ることで様々なことがわかってきました。

タイムについても、対象となる期間中の番組のVI値を見ることによってより効果的な番組をあぶり出すことができます。番組ごとのVI値をしっかり確認することで、タイムの番組選定を最適化できるようになり、より多くの人がテレビの前に滞在している番組を選定できるため、有用なデータだと感じています。

VI値のデータを見て驚いたのは、時間帯やコンテンツによって見られ方に大きな違いがあるということでした。これまではこうした番組の見られ方については、「出勤前はテレビを集中して見る時間が取れなさそうだな」「夕方は家事をしているからあまりじっくりテレビを見ないかも」と「なんとなく」推測することしかできませんでした。しかし、TVISIONの視聴質データによってターゲットの行動が仮説通りに数値に現れたことは大きな収穫でした。

視聴質データを見たことにより、番組のジャンル選定にも変化が生まれそうです。これまでは録画視聴に偏ってしまうのではと、映画やドラマにはそれほど出稿してこなかったのですが、VI値を見てみると、映画やドラマの方がテレビの前に滞在している人が多いことがわかりVI値もAI値も高く、専念視聴が見込めて視聴者にいかに効率的にアプローチできるのではないかと感じました。

実際に線引きの改案作業に視聴質データを利用する際は、VI値の低い番組を外し、より数値の高い番組に出稿すると効果的なのではないかと感じています。やはり:ゴールデンタイムやプライムタイム、そして土日を中心に「逆L」のゾーンは、VI値の高い番組が多く放映効率が良いのではないかと考えています。

 

既存のデータと視聴質データの差分を知りたい

実際の改案にトライするのはこれからですが、これから先、TVISIONには大きな期待を寄せています。

既存の視聴率データとVI値の差分が分かるヒートマップがあれば、出稿を検討する際の大きな判断材料になると思います。

TVISIONはすでにVI値・AI値の局別・時間帯別ヒートマップを提供していますが、それに加えて、その視聴質の数値が高い要因・低い要因をより深く分析・解説していただけると、視聴質をバイイングにより一層有効活用できるでしょう。
CMの放映ひとつとっても、実際にテレビの前に視聴者がいて、視聴者はCMを見ているパフォーマンスが大きく変わるという実感を得ることができました。限られた予算の中で、きちんと視聴者がテレビの前にいて、見てもらえる時間帯、番組を明らかにして効率よく出稿することで、同じCM投下でもパフォーマンスは大きく変わってくると思います。そこはこれからもっと研究したいと考えています。

宣伝部としてはデジタル、テレビ、雑誌、新聞とすべてのメディアを見なければなりませんが、その中で同じCM映像を出稿するメディアでも、地上波テレビ、BS、TVer、AbemaTV、YouTube、インストリームやシネアドといった様々な映像出稿メディアが存在しています。接触単価と認知効率、この両方をすべてのメディアで見るようにしています。

中でも、専念視聴する人の多さは、商品やブランドに対する深い理解を獲得する上で大きな関連性があると考えています。例えば、映画館の「シネアド」は、専念視聴する人の多いメディアの一つです。来場者はスマホや雑誌などを見ないため「ながら視聴」せず、画面をしっかり注視してくれます。大迫力・大音量で商品・ブランドを訴求できるので、商品・ブランドを深く理解してもらえるように思えます。その次は、7~8割の人がスマホで見ている「TVer」、そして「テレビ」、「AbemaTV」、「YouTube」という順番でCM視聴質が高いと感じています。この中で、量と質をどう組み合わせて出稿するのかを日々試行錯誤しています。

AI値については、まだ改良の余地があるのではないでしょうか。AI値だけで生活者の態度変容や心理的な変化まで読み取ることは難しく、CMの真の効果を充分に測ることはできていないのではないかと、個人的には感じています。

これからは、視聴質をはじめとする新しい指標が登場していることもあり、CM業界全体がもっと変化していかなければならないのかも知れませんね。アメリカで「CMを見てもらいやすい新しいフォーマットづくり」が進んでいるように、CMフォーマットそのものを変えることについて検討してもいいのかも知れませんね。YouTubeにおいて6秒のバンパーCMが増えているように、テレビCMも15秒、30秒にとらわれない新しいあり方を考えるべき時に来ているのではないかと思います。