テレビの未来をデータサイエンスで切り開く!
〜米イェール大学との共同研究で加速するテレビの価値の顕在化〜

「TVISION INSIGHTSで活躍中のメンバーはどんな人なのか」今回は、ソリューション本部長の山田さんとデータサクセスチームの森下さんが対談をしました。

TVISIONとの出会い

山田:まずは自己紹介させてください。私はTVISION INSIGHTS(ティービジョン・インサイツ)にジョインする前は、金融機関で債券トレーディング業務をしていました。債券というのは言わば、国や企業の借金なんですが、国や企業の財務状態、マクロ経済など様々なニュースに反応して値段が動きます。買いたい人、売りたい人のために価格を提示し売買の相手方となりながら、自分も収益を上げるのが債券トレーダーの仕事です。様々なマーケット情報を得て素早く判断するので、まさに利益を生み出すために情報を活用することの重要性をリアルに体感していました。そんな仕事をしている中で、同じ金融機関で同僚だった河村が起業したと聞きまして…「遊びに来てよ」と言われ、軽い気持ちで訪問したんですよ。そのまま巻き込まれて、気がついたらジョインしてしまったんですよね。

森下:いきなり…大きなお金が動きそうなお話ですね。私は大学院で計量経済学や機械学習などのデータ分析を学んでいました。新卒では機械学習系のスタートアップに入ったのですが、自社にオリジナルのデータを持っている会社ならもっと深い分析ができるのではと思い、その中でもTVISIONは世の中に今までなかったデータを生み出し、それを業界スタンダードな指標の1つにしようとチャレンジしている事に魅力を感じジョインしました。

山田:そうですね。私もTVISIONが何をしようとしているのかを聞いて、とんでもないスケールの話をしているなと思ったんですね。何もないところから、データ・指標をうみだそうとしているのですから。金融機関ではデータを使う側でしたが、ここではそれを創り出そうとしている。次元が違うなと。

 

テレビとデジタルの横断的評価にも挑む!

山田:TVISIONの視聴質データは、顔認識・人体認識のテクノロジーを使って、テレビの前に誰がいて、ちゃんと見ているのかを毎秒レベルで取得しています。関東800世帯のご家庭に視聴態勢を測る機器を設置させて頂いて24時間365日データを取得し続けています。既に3年以上、毎日大量のデータを取得し続けており、膨大な量のテレビ番組・CM視聴データベースが構築されています。たった今も毎秒ごとに資産が築かれていると思うととてもワクワクします。

森下:そして4月からは関西地域でもデータ取得を始めましたね。データが蓄積されていけば、関東と関西の違いなど、地域性も分析できるのも楽しみですね。特に私は関西出身なので、お笑い番組の見られ方が関東と関西で違うのか、などが気になっています。

関東関西 放送局別視聴質 比較分析

山田 : そうですね。調査世帯の数や地域を拡大し、より詳細なデータを取得することで、さらに細かいクライアントのニーズに応えることができるようになります。ただ、我々の独力で調査世帯の数を拡大するのには限界があると思っており、これから場合によっては他社とのデータ連携を進めていく必要があると考えています。

例えば、ネットに接続したテレビ、いわゆるスマートテレビで取得している視聴ログデータは全国約200万台規模にわたっており、圧倒的なサンプル数を確保できます。スマートテレビのデータは量という意味では他を凌駕しているのですが、テレビデバイスのオン・オフデータのため、だれが見ているのかについては分からないですし、代表性も担保されていません。この圧倒的な量データとTVISIONの誰がいて、見ているのかの質データを掛け合わせることができれば、量 x 質のより深い分析が可能になります。こうしたデータフュージョンと呼ばれる領域が、これからますます重要になってくると思います。

森下 : テレビとデジタルの横断的な評価も大きなテーマですよね。テレビ広告とデジタル広告は商慣習、予算規模が違っていたりして、広告主の中でも別チームで担当するケースが多かったのですが、最近これを横断的に評価したいという声を聞くことが多くなってきました。デジタル広告の世界では、インプレッションやCPM, CVRなどさまざまな広告効果を測る指標がありますが、テレビでも同じような枠組みで広告のパフォーマンスを測る時代がもうすぐ来ると思います。

テレビの1インプレッションの価値とデジタルの1インプレッションの価値はどのぐらい違うのか、テレビのインプレッションに人がちゃんといて見ているという要素を入れるとその関係がどう変化するのかなど、興味深いテーマが盛りだくさんです。

山田 : そういった分析を推し進めていくと、テレビとデジタルを横断的に評価できる統一理論に近づきますね。とてもエキサイティングな話だと思います。

 

 

TVCM認知度×視聴質データの相関関係

山田:テレビ広告はデータがないと長らく言われてきました。しかし最近、デジタル広告が急成長する中で、その流れが変わりつつあります。弊社の視聴質データのような様々なテレビまわりのデータが出てきており、テレビをデータで科学できる素地が整いつつあります。

森下:そうですね、私たちが掲げているミッションは「新しいデータによって、メディアマーケットを圧倒的に進化させる」ですが、そういった取り組みを推し進めたいという機運は業界の中からも感じられます。

テレビ広告で常識とされていることは本当にデータで裏付けられるのか、それとも誰も予想もしていなかったかインサイトが得られるのかなど、クライアントの個別ニーズに対応するため、カスタマイズ分析のご依頼も多く頂戴しています。

例えば、クライアントのトラッキングしている購買データや、CM認知度データとTVISIONのデータとマージすることで全く新しい知見が生まれる…それはとてもやりがいを感じる瞬間ですよね。

山田:まさしく! 森下さんはTVISIONにジョインして、いきなりインパクトのある仕事をしてくれましたよね。森下さんが中心となって取り組んでくれた「TVCM認知度×視聴質データの相関分析」という素晴らしいレポートを発表できました。

新製品のCM認知度と視聴質データの分析により、視聴質の高いCMは認知度も高い傾向が明らかに

森下:クライアントが重要視しているCM認知度というKPIに対する視聴質データの貢献度を自分の手で解き明かしたかったんです。CM認知度は様々な要素(例えばGRP投下量やテレビ以外のプロモーション、ターゲットの関与数や属性、ブランドの知名度など)の影響をうけます。そこで視聴質の高いCMと低いCMを比べたときに、視聴質が高いCMのほうがCM認知度が高いのか検証を行いました。結果として、有意に正の相関が認められました。

山田:素晴らしい結果だと思います。「テレビの前に人がいて、ちゃんと見ていればCMは認知される」 ある意味とてもシンプルな話なんですが、それを実際のテレビの視聴データで証明した人はいないんですよね。定量的なデータによってちゃんと仮説を裏付けることができた、という点で非常に価値があると思います。

 

テレビというブラックボックスを少しずつ明らかにしていく

森下:それにしても、よくこんなデータを取ろうと思いつきましたよね。山田さんは創業フェーズからいらっしゃいますが、創業期はデータも整備されていなかったでしょうし、大変だったんじゃないですか?

山田:はい。率直に言って、大変でした(笑) 。当時はエンジニアがいなかったので、データ抽出さえ満足にできなかったです。そこからだんだんと人も増え、データ基盤も整ってきました。ゼロからイチを作る経験をできたのは本当に貴重だったと思います。

センサーからあがってくる膨大な生データを番組情報やCM情報などのメタデータとつなぎ合わせ、分析に使える形に整えるのは、今でも本当に大変です。手作業を含めて、さまざまな作業が行われています。例えば、番組やCMを分析に適した粒度に分類、集約し名前を付けるといった作業、いわゆる名寄せもそのひとつです。

森下:そうですね。こういった地道な作業によって、今まで評価が難しかったテレビのパフォーマンスを要因分解することが可能になり、マーケターや宣伝担当者がテレビCMの出稿をデータドリブンに意思決定できるようになりますよね。

テレビの分析軸の数は膨大なため、なかなか一朝一夕には全てが明らかになるわけではありませんが、ベールを一枚ずつ剥がすように、今まで分からなかったことが少しずつ明らかになってきており、充実感を感じています。

山田:今は開発チームと連携して徐々に自動化されていって、TVISIONならではの底力ですよね。うちのカルチャーのひとつである「One Team」だからこそ、やれるんだなと実感します。

 

テレビデータがどんな価値を社会にもたらすか? 米イェール大と共同研究開始

山田 :TVISIONのテレビデータはとても複雑で膨大な分析軸があります。リソースが限られたスタートアップ企業のTVISIONだけでは全てを分析しつくすことはできません。

研究開発のスピードを速めるために、外部の専門家との共同研究も積極的に行っています。米国イエール大学の上武准教授との共同研究もその一例です。

上武准教授は、マーケティングサイエンス、実証ミクロ経済学を専門とし、経済学、マーケティングの理論に基づいた消費者ビッグデータの分析と、それに基づいたターゲティング戦略、価格戦略、レコメンデーション戦略などの意思決定について研究されていらっしゃいます。

森下:上武准教授はミクロ経済学の理論に基づいた実証分析を数多くされています。ミクロ経済学のように人間の意思決定構造に注目した切り口がTVISIONデータにもたらされるのではないかと思っています。こういった専門家の知見がもたらされることで、より我々のデータの価値が向上するのではないかと思います。彼とのディスカッションによって、今まで思ってもいなかったような知見が得られるので、データサイエンティストとしてもとてもワクワクします。

 

データチームとして、究極的に解き明かしたいこと

森下:TVISIONのデータサクセスチームが解き明かしたいことは究極的には次の2つのことなんです。

・視聴質を高めると何が嬉しいんだろう?
・どうやって視聴質を高めるんだろう?

実はこの2つの質問は密接に絡み合っています。今回わかった視聴質とCM認知度の関係によって、クライアントは「じゃあ、どのように視聴質を高めればいいのか?」という次の質問に進むことができます。視聴質を高めるためにはメディアの買い方やクリエィティブの作り方を変えてみようとなるわけです。ここでもまたデータによって、どのような放送局、時間帯にCMを流せばいいのか、また視聴者層によるクリエィティブの見られ方の違いなどを定量的に評価できます。

山田:はい。このふたつの質問を行ったり来たりしながら、クライアントへの価値を提供していくことが大事ですね。

クライアントによっては認知度ではなく別のKPIをトラッキングしている場合もあるでしょう。例えば、購買意向や来店頻度、アプリのインストールやアクティベーションなど追いかけているKPIも様々です。こうした個別のKPIに対して、視聴質の寄与度を明らかにし、それを高める方法も同時に示していく。そうすることでクライアントの広告出稿プロセスのなかで、当たり前に見ていかないといけないデータとして組み込まれていく。これがTVISIONのデータサクセスチームの最大のミッションです。

 

テレビの先の視聴者に何を伝え、何を求めているのかを考える

森下:弊社のミッションは「新しいデータによって、メディアマーケットを圧倒的に進化させる」ですが、今集まっているメンバーは、まだ市場にない新しい価値を生み出したいといったモチベーションの高いですよね。データサクセスチームとして、さらにどんな方と働きたいと考えているかについて、詳しく聞かせてください。

山田:一言で言うと、課題が何かという視点を常に持ち、その解決策を考えることができる人ですね。これに尽きると思います。我々がやっている分析、提供しているソリューションはすべて、これをやることによってクライアントの何の課題を解決するのかを意識して生み出されています。

まず、クライアントや業界の抱えている課題があり、それを解決するために最もインパクトがあることをやろうという考え方です。なので、TVISIONのデータサイエンティストはクライアントが抱えている悩みや業界の慣習、ステークホルダー間の力関係など、テレビビジネスを構成する全ての要素に精通している必要があります。そういったところを理解せずに、インパクトのある分析やソリューションを提供することはできないからです。

森下:そうですね。データだけを見て分析するだけなら、もしかしたらいつかAIに取って代わられてしまうかもしれません。クライアントの課題とそれに対する打ち手を示し、実際にクライアントにアクションを取ってもらう。アクションの結果を分析し、また次の手を打つ。そうやってビジネスのPDCAプロセスに入り込んでいくことが重要ですよね。これはAIにはできません。TVISIONのデータサイエンティストにはそういったことが求められていると思います。

山田:はい。打ち手につながる、というのは我々が最も重視していることのひとつです。どんなに素晴らしいデータやインサイトを導いても、クライアントの打ち手につながらなければTVISIONデータはマストデータにはなれないと思います。

実際に打ち手につながった事例として、ある人材系会社ではTVISIONデータを使ってテレビCM出稿の時間帯の最適化をしました。TVISIONデータを使うと、どの時間帯に最も多くターゲットの視聴者がいるかが放送局別にわかります。このデータを使ってどの枠にCMを投下するかをプランニングし実際に出稿したところ、クライアントが追いかけているKPIがTVISIONデータを使っていない出稿に比べて約40%上昇しました。クライアントによると、この上昇幅は金額に換算すると数億円程度の効果だろうと、とても評価して頂きました。

このようにTVISIONのデータを使うことによるインパクトを体感してもらうことを意識しています。

活用事例:メルカリ様

 

データサイエンスチームではなくデータサクセスチーム

森下:TVISIONには、最初にクライアントの課題に触れる営業チーム、そしてコンサルタントがいるカスタマーサクセスチーム、そして私たちのチーム、データサクセスチームがあります。データサイエンスではなく データサクセスにしているのは 、クライアントのサクセスを意識しているからこそそういったチーム名にしているんですよね。

山田:まさにそれです! クライアントのビジネスを成功に導けるからこそTVISIONに価値がある、どのセクションもクライアントのサクセスを目指したいという思いが込められていますよね。

今、求人募集中ですが、どんな経験をしてきた人がデータサクセスチームに共感してもらえそうですか?

森下:TVISIONのデータサクセスチームでは、ビジネスマインドを持ちながら、データ分析を行って頂くことなると思います。つまり、クライアントにとっての重要な課題は何か、課題を解決するためには何をすればいいか、また分析結果をどう見せればわかりやすく伝えられるかを常に考え続けることが求められます。

テレビ業界は特殊なので、この業界の知識をもともと持っている人ってほぼいないんですよね。私も入社するまでテレビのことは何も分からなかったんですが、入ってから学びました。TVISIONに入ってくる方は、テレビ業界に関するドメイン知識とTVISIONの独自指標の両方を学ぶ必要があります。全く知らない領域でも好奇心を持って学べる人だとキャッチアップも早いと思います。

そして、データ分析ってだいたいうまくいかないんですよね。思っていたような結果が出なくても、なんでなんだろう、どうすればうまくいくんだろう、と試行錯誤してみる。現時点での知識やスキルはそこまで重要ではないかもしれません。むしろ、あれこれやってみる過程自体を楽しめる人がフィットするんじゃないでしょうか。

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